PICU〜地獄の3日目〜。
久しぶりにお家での朝を迎え
この上ない幸せを噛み締めながら
PICUの面会が始まる14:00まで時間が贅沢なほど沢山あるのでのんびりと過ごします。
娘が産まれ親になってから
こんなにも長く1人の時間を過ごした事がなく
逆に何をしたらいいのか、何をしていても贅沢に感じられました。
私は駅前の百貨店に行き、退院へ向け病院の方々へのお礼の菓子折りをいくつも買いました。主人と昼食を久しぶりに家で済ませ、病院へ向かいます。
昨日は面会時間をフルに使うことはなく
(娘を起こしてしまったら大変だと思ったため)
この日もまた起こさないように見守ろうと思ってPICUの娘のベッドに向かったところ・・
なんと娘が起きてる!!
ベッドの背もたれの角度調整により体が起きていてDVDがついた画面をただただ何の感情も持たない目で見ている娘の姿が在りました。
私たちは驚いて娘の名前を叫んで走って行きます。
そこで私たちに気付いた娘がポロポロと涙を流しました。
大泣きするわけでもなく、歯をくいしばって静かに泣いてるんです。
私達にもう会えないと思っていたようで
(目が覚めたら自分の身体がベッドにぐるぐる巻きにしばりつけられていて動くことが出来ず、
パパもママもそこには居なくて
知らない人だらけだったらそう思うに決まってます。
DVDを1人で見ていたその目は間違いなく絶望していた目でした。どれだけ怖かったか今も想像すると胸が痛みます。)
会えたことで緊張の糸が緩んでの涙でした。
娘は何も言葉を発することなく涙を流した後はまた死んだような目に戻りました。
祖父母達が面会に現れて、2人ずつしかPICUに入れないため、順番に娘に会いに行きます。
心を閉ざしてしまった娘に病室にある絵本などを読んだりしますがただじっと本の絵を見つめてるだけで娘は何の反応も見せません。
picuには人形やDVD、オモチャなど
名前を書けば持ち込むこともそのまま置いておくこともできます。
このようにベッドにくくりつけられていて腕すら動かすことのできない状態ですので
オモチャは不要かと思います。
DVDはベッドを動かして体を起こしてもらえれば見ることが出来ます。
もちろんpicuにもアンパンマンやわんわんなど子供の好きなDVDは取り揃えてあります。
ですがそれよりも何よりも
心のケアが最重要課題だと思いました。
16時になり面会時間が終わってしまったので一旦私達は出ます。
そして17時になり戻ると、今度は先ほどの静かな心を閉ざした娘ではなく、
より意識がハッキリしてきた娘がパニックになり大泣きを始めます。
「アンパンマン!アンパンマン!アンパンマン!」と狂ったように叫びながら大泣きを始めます。
どんなになだめてもそれは収まらず
今までギャン泣きなどしたことがなかった娘の姿にビックリするとともに、
「娘や子供達がアンパンマンを好きな理由。」
ピンチの時に必ず助けに来てくれるアンパンマン。
必死にアンパンマンを呼ぶ娘に私もなだめながらどうしてあげることも出来ずただただ一緒に号泣する事しか出来ませんでした。
だんだんと「アンパンマン」が「ママ!」に変わり「アンパンマン!アンパンママ!」と混ざっていきました。
こんなに辛そうな娘を見るのが初めてで
何もしてあげられない無力な自分が親として情けなく辛く、人生で一番辛かった日でした。
こんなに泣き叫んで喉も乾くだろうに
鼻から胃まで通した管で流動食を流し込まれるだけで
「picuでは一切食べ物・飲み物は禁止」
です。
寝てる状態ならまだしも
こんなにも意識がはっきりしていて動けるのに手足固定して動くことができない。
喉も乾くのに一切飲み物も与えて貰えない。
点滴や沢山のお薬での栄養のみ。
本当に可哀想です。生き地獄だと思います。
あまりに興奮して暴れ出した娘だったので
危険だと思った看護師さんに薬で強制的に眠らされます。
面会時間ギリギリまで21時までその寝顔を見て私達は病室を後にしました。
体を動かすことが傷の治りや心臓への負担というのであればpicuにいる間はずっとお薬で眠らせておいて欲しい。心からそう思いました。